一般社団法人西尾青年会議所

理事長挨拶

【はじめに】

人生は、⻑く生きることでなく、どれだけ息を飲むような瞬間をもてるか、最高の瞬間を生きられるか。
我々人間には、唯一みな等しく平等なものが存在する。
それは、一年は365日であり、一日は24時間、一分は60秒であるということ。
そして全ての人間は早かれ遅かれどこかで生涯を終え、灰となる。
それは、突如としてやってくることもあれば、100年時代と言われる今、⻑きにわたり味わう人もいるだろう。
修練・奉仕・友情を学び培う⻘年会議所にも、40歳で卒業という等しく平等な制度が 存在する。
そして寿命とは違い、平等に同時期にやってくる。
明るい豊かな社会の実現を目指して共に「今」を生き抜くあなたの、限りある時間と限りなくある可能性をどう使い切るか、「今」この瞬間をどう過ごすか。
一期一会とは、「一生に一度限りの機会」と解釈されることが多いが、「いつも会っている人に今日限りだと思って接すること」とも訳される。
さあ、「今」を大切に、自分に素直に、自分を愛し、その中から自分なりの愛を表現して社会とつながっていこう。
わたしたちの、小さくもインパクトのある運動一つひとつで、このまちの未来ある子どもたちがもっと輝けるように。

【整】

明るい豊かな社会の創造を目指し、そのための社会課題を解決するために運動を絶やさず、活動するために会議をする場所が⻘年会議所である。
会議が有効かつ円滑に執り行われなければ、その先の運動が成功どころか展開されることさえない。
諸会議が円滑に運営され、調和のとれた意思決定と合意形成による運動の最大化を図るための有意義な場とするため、組織の重要な要として『整』え、時に正す。
DX化や効率化が凄まじい速度で激 化していく現代において、時代に即した形を取り入れることにも臆さず挑戦してほしい。
LOMに無くてはならない存在として、意義と価値を大いに感じてもらおう。
伝統や規律を守りつつも、変化や挑戦を大いに楽しもう。      

【影】

⻘年会議所には、「設営」という言葉が多く登場する。
それは、⻘年会議所には、自身の所属するLOMだけにとどまらず、明るい豊かな社会の創造の為の学びの機会が外にも数多く用意されており、その機会を存分に、快適に、そして安全に味わうことができているのは、 常にそこには設えがあり、関わっている人間がいるから。
会員が自信をもって⻄尾の地から各地へ出ていくことができるのは、格好をつけさせてくれる後ろ盾があってこそ、⻘年会議所でよく耳にする「設営」の最たるところは渉外にあり。 もしかしたら、時代錯誤であり、現代に合わない、もう必要ないと思う者もいるだろう。
しかしどうだろう、影の下支えに徹しホスピタリティの真髄を提供するこの『影』とは、「かげ」と訳されれば同時に「ひかり」とも訳される。
心遣いからなる最高レベルの体験と価値を提供する組織のかげであり、ひかりで在れ。      

【届】

知ってもらう。理解してもらう。応援してもらう。関わってもらう。
改めて、我々⻘年会議所のことをどれだけの方に、正しく伝わっているのだろうか。
組織が伝えたいことと、社会が必要としていることは本当に一致しているだろうか。発信 方法ではなく、需要と供給我々の活動と運動は、一片の迷いなく伝わるべき相手に届けるべきであり、 インパクトある発進をし続けることでようやく浸透の一歩となる。
また、⻘年会議所の新しい一年の始まりを、活動と運動の方向性を、会員と共に行政や他団体、歴史を紡いできてくれた先輩諸兄姉に広く届ける場を設け、 また通年を通して⻄尾⻘年会議所の生きた情報を常に高い温度感で届け、さらなる強固な協力体制を構築して いく必要がある。全ての人に届く言葉など恐らく存在しない。だからこそ、広く不特定多数ではなく、 届くべき人、届いてほしい人へ『届』ける広報として、子どもたち、市⺠、行政、⺠間企業、諸団体、から本当の意味で必要とされる団体として明るい豊かな社会の創造の一歩に、貪欲に、大胆に関わっていこう。
このまちの未来ある子どもたちがもっと輝けるように。      

【一】

あなたは、⻄尾⻘年会議所の大切な会員の一人であることに誇りをもてているだろうか。明るい豊かな社会の創造に向けて欠かせない一人であるという自覚はあるだろうか。 「モノ」から「コト」へ世の中の消費傾向は変化を遂げたと言われているが、同時に今は「ヒト」が重要視されていることも忘れてはならない。 体験や経験に価値を見出すと同時に、その体験や経験を誰とするか、誰と関わっていくか。
昨年42年ぶりの愛知ブロック大会の主管LOMとして一大大会を終え、LOMとして疲 弊しかねない中、今一度団結した強い組織であるべく、『一』つになる活動を展開する必要がある。 運動する側にまとまりがなく活力、活気がなければ、明るい豊かな社会の創造 が現実化することは絶対にあり得ない。日本⻘年会議所、愛知ブロック協議会が提供する外での機会を学びと会員交流の場として明確に示そう。 会員がJCにおける可能性を直に感じてもらう機会としても有効であり、LOMの団結力強化を図り、強い⻄尾、誇れる⻄ 尾、逞しい⻄尾を取り戻そう。圧倒的な交流の機会を経てとにかく一つになろう。
このまちの未来ある子どもたちがもっと輝けるように。

【起】

2020年、突如として現れた新型コロナウイルス感染症が我々に与えた影響は、良くも悪くもとてつもなく大きい。 働くという点においても、それは働き方に大きな変化を与えただけでなく、働くことの意義や可能性について考え見つめ直す機会にもなった。 2024年は、国内のオフィスワーカーの仕事の8割が遠隔勤務できるシステムが実用化するとも言われており、働き方だけではなく働く人についても大きく変革する時がすぐそこまでやってきている。
近年よく耳にするアントレプレナーとは、起業家精神と訳され起業する人にある特有の資質と解釈されるが、実際は、新しい事業を創造しリスクに挑戦する姿勢のことであり、 これは会員である我々一人ひとりが本来当然のごとく兼ね揃え、高い意識をもっているべき精神である。技術革新が急速に進み、多くの仕事がAIやロボットに置き換わるなど、 人間に求められる力も変化している現代で未来を担う若い世代たちには型にはまらず、商いの在り方について無限の可能性を感じてもらいたい。 この先何が起きても、自ら事業を『起』こし生活できる力を習得する機会を与えることは我々大人にとって重要な責務である。様々なエッセンスを取り入れ、起業を含めた多様な職業の選択肢について知ることは、 若者の進路を決定していくうえでも大切な学びとなる。
未来を担う子どもたちが、明るい豊かな社会の創造を目指す未来ある一人として多くの仲間と協働し挑戦し続けていくことができれば、この国の未来はまだまだ眩しいほどに明るい。
そう、このまちの未来ある子どもたちがもっと輝けるように。

【幸】

一人でも多くの人が幸福感をもって生活できるとしたら、社会はシンプルにもっと良くなると思わないか。
ウェルビーイングとは心身と社会的な健康を意味する概念であり、『幸』福な状態を表す。ハピネスという言葉と比較されやすいが、瞬間的に感じるもの状態をハピネス、 持続的に感じる状態をウェルビーイングと位置付けられている。日本政府が2021年に閣議決定した基本方針において、ウェルビーイングに関する成果指標を設定し、 様々な分野でウェルビーイングを重視している。「我が国が目指す社会とは一人ひとりが多様な幸せを実現できる社会」「全てのこどもが、安全で安心して過ごせる多くの居場所を持ちながら、 様々な学びや社会で生き抜く力を得るための糧となる多様な体験活動や外遊びの機会に触れ、自己肯定感を高め、幸せな状態で成⻑し、社会で活躍していけるようにすることが重要である」などとある。
近年、QOL(人生・生活の質)という言葉も広く浸透しており、人がいかに物質的な幸福度よりも体験や経験、そこから得る意味や価値をより重要視しているのか、ということが分かる。 ウェルビーイングが高いと創造性が3倍になると言われており、明るい豊かな社会の創造に必要な創造性、そして定義として必要な幸福感を一人でも多くの人に波及させることができる。
どんなことだって良い、我々⻘年会議所が地域を先導する若きリーダーの集合体であると示すために、徹底的にウェルビーイングに拘り先ずは自らが感じていこう。
ウェルビーイングに満ちた我々から伝えられることには、必ず大きな価値がある。
このまちの未来ある子どもたちがもっと輝けるように。      

【相】

スポーツとしての相撲を通じ、「礼」を学び「努力する」ことや「思いやり」等、社会生活に必要な徳性をゆっくりと養い育てる場を、という開催意義のもと、 ⻄尾の地においても2024年度は第6回目を迎えるわんぱく『相』撲。
近年、⻄尾から全国大会出場者も多く輩出されるなど、事業認知度を肌で感じることができている。その反面、認知度は一定数あるもの、どこか慣れからくる寂しさ、 物足りなさのようなものも感じる人は少なくないのではないか。
今一度、本事業を開催する本質に拘ってみよう。勝負事に真剣になる姿勢、勝ち負けに 拘り子どもたちが一生懸命になる姿はいつだって美しい。 しかしそれ以上に大切なことが 学べる場として、⻄尾場所らしい工夫や楽しさを盛り込んだ開催はもとより、参加者である子どもたちだけでなく大人たちが何らかの形で関われるような機会も探求してみよう。 明るい豊かな社会の創造を実感する人たちはここに集結しており、一番に届く声として向き合おう。
このまちの未来ある子どもたちがもっと輝けるように。

【魅】

人こそが、いつの時代も世の中を動かす。
多様な産業や海、山といった豊富な観光資源もある、住みやすいまち⻄尾市がより活気付くためには、この地にある「モノ」や「コト」だけでなくもっと「ヒト」にスポットが 当たる機会が必要である。 つまり「ヒト」の魅力をもっともっと掘り下げ、⻄尾市から日本各地全国へ、世界に通用するようなインパクトある若者、⻘年を発掘し支援していく。 TOYP(⻘年会議所版人間力大賞)とは、日本⻘年会議所が設えた事業であり本年38回目を迎え益々活気を増している。
私たちが誇る⻄尾市においても、環境、医療、経済、政治、科学技術、文化、芸術、ス ポーツ、などのあらゆる分野において持続的なインパクトを与えることのできる可能性を秘め傑出した若者に、 ⻄尾として実現可能な形で『魅』せる機会を提供しよう。ヒトの魅力を知ることで⻄尾の魅力を再認識でき、同時に日本へ、世界への可能性を感じてもらいたい。 若者ががむしゃらに挑戦する姿は、明るい豊かな社会の創造への確実な一歩に繋がる。何よりも、なにかに夢中になり真っ直ぐな人は、等しくみな美しい。 ステージはそこにある、一歩踏み出して可能性という機会を掴もう。
このまちの未来がもっと輝けるように。      

【宝】

このまちに住み暮らす子どもたちは至『宝』であり、未来を担い、未来を背負う。
新型コロナウイルス感染症は、直接的、間接的いずれも子どもたちから沢山の感動の機会を奪った。 自身の目で見て、手で触れて、足で感じることができたものから遠のかせた。 文科省も、近年の子どもたちの育ちについて、他者とのかかわりが苦手、自制心や耐性、規範意識が十分に育っておらず、運動能力が低下している等の明確な課題を打ち出している。
明るい豊かな社会の創造において絶対に欠かせないことは、子どもたちの溢れる笑顔だ。親や地域の大人として、その子どもたちにどんな景色をみせ、どんな経験をさせるかは、 その後の人生を左右しかねないほど大きい。とにかく圧倒的な原体験を通じて、子どもたちが成りたい自分を見つける一助になれる機会を提供し、社会における大きな存在意義と価値を感じてもらおう。
強烈に楽しいという経験は、我々大人が考える以上に子どもは自発的になにかを学ぶと信じている。決して難しく考えなくたって良い。そこに子どもたちの笑顔が想像できれば。 その笑顔の先に、子どもたちが作り上げる未来が描ければ。世代から次の世代へ、笑顔を繋ごう。
全ては、このまちの未来ある子どもたちがもっと輝けるように。

【新】

明るい豊かな社会の創造を目指し、共に活動、運動を展開する⻘年会議所。
そして40歳で卒業という仕組みが設けられている以上、毎年会員は入れ替わる。 『新』たに組織の門をくぐり共に活動、運動する新入会員が一年目をどう過ごすか、それはその後の⻘年会議所活動に大きな影響を与える大切な期間。 ⻄尾⻘年会議所には、先輩諸兄姉から完璧に受け継がれてきた新入会員だけで構成される仕組みがある。 この当たり前ではない、類稀な恵まれた仕組みを大いに活用し将来組織の中枢メンバーとなるべく多くの経験をしてもらいたい。 生まれた赤子は3歳までに脳の90%は決まると言われているように、入会間もない新たな仲間には、なにを見て、なにに触れ、なにを聞き、なにを伝えるか、そしてその全てを誰と味わうのか、 を大切にして過ごしてもらいたい。
自分自身の新しい価値を見出す場として、さらには組織の可能性を共に感じる場として、提供されるもの以上に貪欲に臆することなくこの組織を使い倒してほしい。
このまちの未来がもっと輝けるように。      

【強】

⻄尾⻘年会議所の創設以来、変わらず継承を続けている一つが「会員拡大」である。 人口減少、企業数減少、働き方改革をはじめ企業人のマインドシフト。 ⻘年会議所の位置付けも以前とは変わり、時代の変化に直面している事実は避けられない。
組織が強く逞しく在り続けるために、新たに活動を共にする人財を確保する必要性は言うまでもない。だが同時に考えなければいけない一人ひとりの会員としての会員力。 数の利は時として数の不利とも捉えられる。「あれだけの人数がいるのに」「連絡が取れない」「しばらく見ていない」こうした声が内外から聞こえることがない組織にすべきであり、 それこそが未来の候補者への最大のアピールポイントであると考える。
なぜ、この組織で活動しているのか、なぜ、この組織でなければいけないのか。この組織では何が生み出され、どんな徳が自身にあるのか。 個がしっかり自走自立し、意識と行動力が高まれば、それは必ず伝播し組織に良循環を生み出す。「増」だけに執着し過ぎず『強』を。 「強」が「増」を作り、明るい豊かな社会の創造を本気でイメージできる精鋭集団となろう。
このまちの未来がもっと輝けるように。      

【さいごに】

19歳の人生の転機、アメリカでとあるネイティブアメリカンに「死に方」を教わった。彼らは「人は生まれてくる時に涙を流して生まれるが周りは生まれたことを喜び笑顔で迎える。 ところが死ぬときは逆転して、自分は笑いながら『ありがとう、楽しかった』と言い、周りは『まだあなたが必要だ』と言って泣く」、これがネイティブアメリカンの死に方、つまりは生き方なのだと。
自分が死ぬときに何人の人が泣いてくれるか、あなたに出会って良かったと部下や後輩から言ってもらえるか、子どもからお父さんお母さん、あなたの子で良かったと言ってもらえるか、 これは全て日々の過ごし方の問題である、と。
⻘年会議所という一つの家族で人生を終えるとき、ありがとう、楽しかったと胸を張って言い、そしてあなたと出会えて良かったと、あなたのために泣いてくれる人のために限りある今を全力で生きよう

面倒くさい所に、面白いことがいっぱい転がっているのが⻘年会議所。
面白がる人はなんでも面白くする、反対に何でも不満をもつ人はどんなにお金や時間があろうと不満をもつ。私を信じてほしい。 仲間を信じてほしい。そして誰よりも自分を信じて動きだしてほしい。貴重な⻘年期である「今」をどう使うか、いつだって自分自身の一 歩からしか生まれない。 誰もがもちあわせるシン『パ』イを共に前へ進む仲間へのシン『ラ』イへ、これが本当のパラダイムシフトだと信じて。
明日があるから、は希望に溢れた言葉だけれど、今日この瞬間が充実しなければ明日にはならないし、そもそも必ず来る保証はどこにもない。
明日を夢見るなら、まずは今日、「今」この瞬間を充実させよう。
「今」とは、英語で Present。時間の「今」とも訳され、同時に「贈り物」とも訳される。あなたは、この世でもっとも価値のあるこの贈り物を、どう使いますか。

難しいことを易しく、易しいことを深く、深いことを面白く、面白いことを真面目に、真面目なことを愉快に、愉快なことをあくまでも愉快に。

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